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「青春18きっぷ」ポスターの鉄道写真家が選ぶ 夏駅ノスタルジー10(1)

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「青春18きっぷ」ポスターの鉄道写真家が選ぶ 夏駅ノスタルジー10(1)

異郷の地なのにどこか懐かしい、夏の駅にはそんなノスタルジーがあります。雄大で溌剌(はつらつ)とした風景の背後にある、短い季節が過ぎ去った後の寂しさの予感も魅力的です。「青春18きっぷ」のポスター写真を撮り続けてきた鉄道写真家の長根広和さんに、記憶に残る夏の駅を10か所紹介してもらいました。

 

上の写真<指宿枕崎(いぶすきまくらざき)線・西大山駅(鹿児島)>
JRの日本最南端の駅として有名な駅。駅舎はないがホームから見える開聞(かいもん)岳が魅力的だ。夏になると駅前の畑にヒマワリが植えられることが多い

 

写真で表現するのが意外と難しい“夏”

四季を通して全国各地を撮影しているうち、夏を表現するのはとても苦労する。夏というと、緑の田園や森、入道雲やヒマワリというような風景が思いつくものの、鉄道と絡めるとなると、これが意外と難しいのだ。

桜や紅葉のように毎年決まった場所にあるならそれを狙いに行けばいいのだが、例えばヒマワリは今年も同じ場所で栽培されているか分からないし、入道雲や夕立はまさに気まぐれである。沿線をロケハンして夏を感じたらすぐに列車時刻を確認し、30分以内に列車が来るなら撮影するというのが私流のスタイルだ。

文・写真/長根広和

 

「青春18きっぷ」ポスターの鉄道写真家が選ぶ 夏駅ノスタルジー10(2)へ続く(7/28公開)

<木次(きすき)線・出雲横田駅(島根)>1934年開業の社殿造りの駅舎は、入り口に大きなしめ縄が飾られている。突然の夕立に列車を降りた乗客が途方に暮れる。しびれを切らした若者がダッシュ!
<土讃(どさん)線・坪尻(つぼじり)駅(徳島)>秘境駅として有名な坪尻駅は、列車か徒歩でしか行けないスイッチバックの駅。JR四国の観光特急「四国まんなか千年ものがたり」も停車する
<山陰本線・諸寄(もろよせ)駅(兵庫)>海岸線の集落に寄り添うように佇む駅。2019年冬の「青春18きっぷ」ポスターになった。日本海の夕日を眺めながらの列車旅がおすすめ
<城端(じょうはな)線・城端駅(富山)>城端線は終着駅がどの路線にもつながっていない盲腸線。夏、天候が崩れる前の夕方は、空が真っ赤に焼けることが多い。翌日はもちろん雨だった

   

長根広和(ながね ひろかず)

1974年、神奈川県生まれ。鉄道写真家。マシマ・レイルウェイ・ピクチャーズ代表取締役。「青春18きっぷ」などのJRポスターや、鉄道雑誌、カメラメーカーPRなどで活躍。日本鉄道写真作家協会副会長。著書は『極上の鉄道風景写真術』(天夢人)ほか

(出典:旅行読売2024年7月号)
(Web掲載:2024年7月27日)


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