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フランス ワインさすらい旅(1)

場所
フランス ワインさすらい旅(1)

エぺルネーへ向かう道中で。商店も見当たらないような小さな集落にも、2~3軒の醸造所が立っていた

レンタカー走らせ有名産地を巡る

見る人によっては、何の変哲もない写真かもしれない。十字架のある畑の前で、一人の女性がほほ笑んでいる。その女性は、日本に住む私の知り合いのソムリエ。そして畑は、あの有名なロマネ・コンティのブドウ畑だった。

その写真を見て私は、フランスを旅してみたいという衝動にかられた。ワインに関してはさほど造詣が深いわけではないが、いつか本場フランスで心ゆくまで味わってみたいという思いはあった。3週間の日程でワイナリーを巡り、フランスをほぼ一周する計画を立てた。

シャルル・ド・ゴール空港に降り立つとレンタカーを借り、まずはシャンパンの産地として知られるシャンパーニュ地方へ向かった。パリから東にクルマを2時間ほど走らせると、シャンパーニュ地方の中心都市、ランスである。ちなみに、フランスでは血中アルコール濃度0.5㌘/㍑以上は飲酒運転となるので、飲んですぐに運転する場合はワイン1杯までと自分で決めていた。

バーでは、ふた口で飲める量のシャンパンをグラスに注いでくれ、利き酒をする

ここには、シャンパンの飲み比べを楽しめるバーがいくつもある。ピノ・ノワール、シャルドネ、ムニエといったブドウの品種が異なるシャンパンを利き酒できる。ふだん私が飲むシャンパンはこの3つをブレンドしたものがほとんどだが、ここでは単一原料のシャンパンも飲ませてくれる。値段は、グラス3杯で20ユーロほどだ。シャルドネは、酸味が利いていて独特の風味があった。ピノ・ノワールとムニエは、正直、違いが分かりにくかったが、ピノ・ノワールの方がやや軽快な感じがした。

ビストロで出された料理は爽やかな風味で、シャンパンとの相性が抜群だった

こうした飲み比べのバーには食べ物のメニューがないので、食事はすぐ近くにあるビストロでとった。ピノ・ノワールのシャンパンを注文し、「これに合う料理を」と頼むと、酸味の強いソースのトーストとサラダがでてきた。ソースはバルサミコ酢が利いていて、とても爽やかな味でシャンパンとの相性が絶妙だった。シャンパンを中心に料理のメニューを考えているようで、『なるほど、シャンパンの街だ』とうならされた。

見渡す限りのブドウ畑の絶景に感動

一面に広がるブドウ畑。6月にはすでにブドウの実がつき始めていた

ランスには2泊し、もう一つの中心的な町、エペルネーへと向かう。私が「クルマで行く」とホテルのフロントの女性に告げると、地図を指さして英語でアドバイスしてくれたので、それに従ってまっすぐ南下するのではなく、時計回りに大きく迂回する道を選んだ。

ランスを出てしばらく車を走らせると、なだらかな丘に整然と植えられたブドウ畑に出た。見渡す限りブドウが植えられている。地平線の向こう側にもブドウ畑が続き、そしてまた次の地平線まで…。あまりに美しく、スケールの大きな風景に、クルマを走らせているあいだ中、感動がやまない。

醸造所の中庭では、観光客がワインやシャンパンを飲みながら楽しげに語らっていた

信号ひとつない道のところどころに小さな集落があり、小規模のシャンパンの醸造所がある。人の気配は、それだけしか感じない、素晴らしいルートだった。やがて人家が多くなり、目的地のエペルネーに着いた。そこでは、いくつかのシャンパンメーカーのテラスにテーブルと椅子が並べられ、飲んで軽い食事を楽しめるようになっていた。私も2軒ほど回り、昼間からシャンパンを味わった。

文・写真/太田正行

フランス ワインさすらい旅(2)へ続く

(Web掲載:2024年8月6日)

 


<旅のインフォメーション>

東京からパリまでのフライトは直行便で約14~15時間。現在3社(エールフランス、日本航空、全日空)が直行便を運航している。

・時差/夏は日本より7時間遅れ。冬は8時間遅れ。
・ビザ/観光目的の旅(3か月以内の滞在)なら不要。
・パスポート/フランスを含むシェンゲン協定加盟国出国予定日から3か月以上の残存有効期間が必要。
・通貨/ユーロ(€)1ユーロ=159円(2024年8月6日現在)
・気候/7月のパリの平均最高気温約25℃。1月のパリの平均最低気温約0℃。


Writer

太田正行 さん

1959年生まれ。フリーランスのライターとして旅行ものなどを手がける。中央大学時代にサハラ砂漠でラクダを一頭買い、単独行で砂漠を約500km旅した経験を持つ。40歳代後半に農産物直売の会社を設立。独自のシステムを作り、時間にゆとりができた現在は、各方面に活動の範囲を広げている。

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