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フランス ワインさすらい旅(2)

場所
フランス ワインさすらい旅(2)

高い十字架が立つロマネ・コンティのブドウ畑。遠くからでもすぐに目についた

ブルゴーニュ地方でワインを飲み比べ

フランス ワインさすらい旅(1)から続く

ボルドーと並んで、いやそれ以上に高値のつくブルゴーニュワイン。私のフランスワイン紀行は、エペルネーからシャブリを経て、ブルゴーニュ地方の中心都市・ディジョンへと至った。

ここはエスカルゴとマスタードが有名な街。早速、名物のエスカルゴを食べてみた。日本で食べるエスカルゴとはまったく異なる。上品でこってりとしたコクがあり、上質なバターの香りが鼻に残った。

シンプルな味付けながらコクがあるエスカルゴ。いくらでも食べられる

ディジョンからボーヌにかけて細長く広がるワイン畑は、コート・ドール(黄金の丘)と呼ばれ世界最高峰のワインを産する偉大な丘だ。

まずはジュヴレ・シャンベルタンに寄った。ここのワインは、ナポレオンが愛飲し、遠征先にも必ず持っていったとのエピソードで有名である。シャンベルタン、あるいはジュヴレ・シャンベルタンのラベルの付いたワインは、数十万円するものから1万円前後で買えるものまである。

店外の通路に並んだテーブルでもワインを味わえる

脇道に入ったところにレストランがあったので、ランチをとった。グラスでジュヴレ・シャンベルタンを頼んだ。濃い色調でスパイシーな香り。口に含むと、パワフルで男性的、それでいて甘酸っぱいアロマが感じられる。ブルゴーニュワインの王様と称えられるワインだ。食べ物はサンドイッチだけで軽く済ませ、休憩をとってから、今回の旅の最大の目的地、ヴォーヌ・ロマネへ向かった。

ロマネ・コンティの畑で十字架を発見

ロマネ・コンティの畑では今も農耕馬が使われる。昔ながらの流儀が守られている

ジュヴレ・シャンベルタンからヴォーヌ・ロマネまでは約9キロ。ロマネ・コンティの畑はすぐに見つかった。神聖な畑にふさわしい高い十字架が目印だ。ワイン好きならだれもが、一生に一度は口にしてみたい世界一有名なワインといっていい。畑を見渡すのと写真を撮るのに夢中になっていたが、ふと気づくと馬が二頭いた。ロマネ・コンティでは、今も農作業に馬が使われており、何とかカメラに収めようとしたが、一瞬間に合わずに車の荷台に載せられてしまい、馬の顔が隠れてしまった。

醸造所の内部はもちろん、敷地への立ち入りもできなかった。柵の外から撮影した

小さな村なので、ロマネ・コンティの醸造元もすぐにわかった。内部を撮ることができれば大スクープだったが、あっさりと断られる。門の外から写真に収めた。

ちなみに正規ルートによるロマネ・コンティの価格は、最低400万~500万円といわれる。ビンテージによっては1000万円以上で取り引きされるケースもある。残念ながら私はまだ口にしたことがなく、今回の旅でも夢はかなわなかったが、いつかは飲んでみたいものだ。

ヴォーヌ・ロマネの隣がこれも有名なニュイ・サン・ジョルジュ。そしてコート・ドールの終着点、ボーヌに着いた。その後は電気自動車の充電に泣かされ、予定の半分しか回れずにフランスの旅を終えた。

ワインを飲むだけなら日本でもたくさん手に入るが、本場フランスを訪ね、ワインと料理の相性の素晴らしさを痛感した。ワインに合わせて料理があり、料理に合わせてワインがある。夏の日差しを避け、パラソルの下で風に吹かれながら飲んだワインは特に印象に残った。来年の再訪を誓って日本への帰路に就いた。

文・写真/太田正行

(Web掲載:2024年8月6日)


<旅のインフォメーション>

東京からパリまでのフライトは直行便で約14~15時間。現在3社(エールフランス、日本航空、全日空)が直行便を運航している。

・時差/夏は日本より7時間遅れ。冬は8時間遅れ。
・ビザ/観光目的の旅(3か月以内の滞在)なら不要。
・パスポート/フランスを含むシェンゲン協定加盟国出国予定日から3か月以上の残存有効期間が必要。
・通貨/ユーロ(€)1ユーロ=159円(2024年8月6日現在)
・気候/7月のパリの平均最高気温約25℃。1月のパリの平均最低気温約0℃。


Writer

太田正行 さん

1959年生まれ。フリーランスのライターとして旅行ものなどを手がける。中央大学時代にサハラ砂漠でラクダを一頭買い、単独行で砂漠を約500km旅した経験を持つ。40歳代後半に農産物直売の会社を設立。独自のシステムを作り、時間にゆとりができた現在は、各方面に活動の範囲を広げている。

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