牧野富太郎ゆかりの地をめぐる 【高知県】 <後編>
富太郎が亡くなった翌年(1958)、高知市街地を見下ろす五台山に高知県立牧野植物園が開園した。牧野富太郎記念館では多くの資料を収蔵、展示している。
園内にはほかに温室や土佐寒蘭センター、高知の自然を再現した「土佐の植物生態園」などがある。2019年には、「こんこん山広場」と「ふむふむ広場」という二つの園地がオープンした。春は随所が桜色に染まる。
高知県立牧野植物園
起伏のある8ヘクタールの敷地に、富太郎ゆかりの植物など3000種類以上が植えられている。
9時~17時/年末年始休、ほかにメンテナンス休あり/730円/℡ 088-882-2601
牧野富太郎記念館
本館には蔵書や遺品約5万8000点を収蔵する牧野文庫や実習室などを備える。展示館は富太郎の生涯を豊富な資料で紹介し、中庭にはゆかりの植物約250種を植栽している。
シアターではオリジナル作品を上映する(9時30分~16時の間、30分間隔)。
記念館で富太郎の人柄や、発見・命名した植物を知ってから園内を散策するもよし。富太郎が植物に語り掛けたように、植物と会話をしてから学んでもいいだろう。
広い園内を心の赴くままに歩いてみたい。
富太郎エピソード
高知市中須賀の商家「仙台屋」の庭にあったことからその名が付いた桜。花の縁の紅色が濃く、富太郎もこよなく愛した。
高知県立牧野植物園や東京・練馬区の牧野記念庭園に植えられている。
富太郎が高知県で発見した日本原産の野草。1889年に東京大学の大久保三郎とともに「植物学雑誌」に発表した。日本人による国内初の学名発表であった。
1927年に仙台市で発見したササで、葉の片方が裏に巻いているのが特徴。学問に私情を持ち込むのを好まなかった富太郎だが、翌年亡くなった壽衛(すえ)夫人の長年にわたる献身に感謝して命名した。
写真提供/高知県立牧野植物園
高知県観光博覧会
牧野博士の新休日 ~らんまんの舞台・高知~
2023年3月25日~2024年3月31日
連続テレビ小説「らんまん」の主人公のモデルである牧野富太郎ゆかりの地を中心に、約1年にわたって高知県全体で観光博覧会が開催される。草花をはじめ自然や食、歴史などを四季折々の魅力を体感しよう。
高知駅前にある総合観光案内所。土・日曜、祝日はよさこい鳴子踊りステージイベントを行う。旬の草花やグルメ情報を配信するデジタルサイネージを設置している。
8時30分~18時/無休/℡ 088-879-0186
園内には坂本龍馬像や桂浜水族館、坂本龍馬記念館がある。3月、「食べる・買う・学ぶ・憩う」をテーマにした商業施設「桂浜海のテラス」がグランドオープンした。
営業時間は施設により異なる/無休
高知県東部の安芸市にある波の浸食によってできた洞窟で、高さは約5メートル。40種類以上のシダ植物が壁面を覆っており、富太郎が採集に通った。国の天然記念物に指定されている。
℡ 0887・34・8344(安芸観光情報センター)