【私の初めてのひとり旅】室井滋さん ロンドン、モンゴルなどアジア8か国(2)
「雷波少年」の企画で訪れたモンゴルで。右から2人目が室井さん、その左がアタちゃん
むろい・しげる[俳優]
富山県生まれ。映画「居酒屋ゆうれい」「のど自慢」などで多くの映画賞を受賞。絵本『キューちゃんの日記』(北日本新聞社)、『チビのおねがい』(教育画劇)、エッセー『ヤットコスットコ女旅』(小学館)ほか著書多数。しげちゃん一座絵本ライブを各地で開催中。富山や山形などのローカルラジオ番組にレギュラー出演。2023年4 月、富山県立高志(こし)の国文学館の館長に就任した。
東京と富山を行き来する日々 故郷について深く知る喜び
【私の初めてのひとり旅】室井滋さん ロンドン、モンゴルなどアジア8か国(1)から続く
モンゴルではウランバートルから草原に入って行って、遊牧民のゲル(移動式住居)に泊めてもらって。その家のアタちゃんという女の子と仲良くなり、牛の糞(ふん)を拾う仕事を手伝いました。乾燥した糞は燃料になるんです。アタちゃんはその後、日本語を勉強して日本に遊びに来たんですよ。私に会いたいって、事務所にハガキをくれたので、会いに行きました。居酒屋でアルバイトしていて、日本語もうまくなっていました。感動しましたね。
プライベートでも旅行はいろいろ行きました。1級小型船舶の免許を持っていたので、大きな船を買って浦賀(神奈川)に係留し、週末や仕事がない時はほとんど船で暮らしていたような時期もありました。伊豆の島々には一通り行きましたね。釣りが好きで、船もそのために買ったんです。アラスカにキングサーモンを釣りに行ったこともあります。
今は月に3、4回は東京と富山を行き来し、絵本を朗読するライブで地方を回ることもあります。移動はひとりなので、それが旅みたいなものですね。ラジオの番組でいろんな所へ行っていろんな人の話を聞いて、生まれ育った富山でも知らないことがたくさんあって。高志の国文学館の館長としても地元のことをもっと知らなきゃいけないので、民話や短歌なども勉強しています。
とにかく、旅の連続のような日々なのですが、いずれにせよお膳立てされたものは面白くないと思います。イキイキとしたハプニングを旅に期待! 今も時々、またアジアの旅に行ってもいいかなって思ったりしますからね。
話・写真/室井滋
聞き手/山脇幸二
(出典:「旅行読売」2024年6月号)
(Web掲載:2024年6月22日)