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【私の初めてのひとり旅】パンツェッタ・ジローラモさん ロンドン(2)

場所
> ロンドン
【私の初めてのひとり旅】パンツェッタ・ジローラモさん ロンドン(2)

カムデンタウンはストリートファッションの聖地(写真/ピクスタ)

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パンツェッタ・ジローラモ[モデル・タレント]
1962年、イタリア生まれ。ナポリ建築大学在学中に亡き父の後を継ぎ、歴史的建造物の修復に携わる。88年から日本に在住。多数の雑誌やテレビ番組などで祖国イタリアについて紹介し、タレント活動を始める。2006年、本国より騎士の称号「カバリエレ~イタリア連帯の星勲章」を授与される。14年3月、「連続して最も多くファッション誌の表紙を飾った数(男性モデル)」としてギネス世界記録に認定され、現在も更新中。

カムデンタウンで最先端のファッションと出合う

【私の初めてのひとり旅】パンツェッタ・ジローラモさん ロンドン(1)から続く

ロンドン中心部に叔父の一家が住んでいて、年齢の近いいとこがいました。僕は英語が話せなかったけど、彼はイタリア語が話せたので、一緒にあちこち見て回りました。大英博物館やロンドン自然史博物館、科学博物館など、世界中の美術品や珍しいものがたくさんありました。バッキンガム宮殿で衛兵の交代式も見ました。ロンドン動物園はナポリの動物園とは全く規模が違いましたね。

ナショナルギャラリー(国立美術館)へ行って、トラファルガー広場のライオン像に乗って写真を撮ったりして……。いとこと一緒におすすめの演劇も観(み)に行きました。言葉は分からなかったけれども、芝居はやっぱりディヴェルテンテ(※イタリア語で「楽しい」)!

目的があって行ったわけではなく、あくまでバカンスだったので、気楽な旅でした。いとこたちと遊んだり、叔父の家の庭でパーティーを開いたり、日常生活のすべてがイタリアとは違う。何よりロンドンの街自体が興味深かったです。ロンドンには多様な人種が大勢いました。ナポリではイタリア人以外は見かけなかったので、黒人もアジア人も初めて。国際的な街だと思ったし、ヒッピーからモッズ、スキンヘッズ、パンクなどファッションや音楽も若者のサブカルチャーの先端を行っていた。どのエリアに行っても面白くて刺激的でした。

ファッションとの最初の出合いはカムデンタウンでした。カムデンタウンには洋服のマーケットがあって、近くの芸術大学の学生も出店していました。後に有名デザイナーになった人の作品もあったようです。何年か後には、僕自身も友人と一緒にビンテージのT シャツを作って屋台で売るようになりました。

ポートベロー・ロードにはアンティークやビンテージのマーケット、コヴェント・ガーデンにはかわいいショップがたくさんがありました。あとはソーホー。16歳の少年は好奇心旺盛だからセクシーショップのエリアなどは見るだけでドキドキ。別に妖しいとかいやらしいとか、そういう雰囲気じゃないんです。ちょっと変わったT シャツを買って、あとで友達に自慢しました(笑)。とにかく毎日が新しい発見の連続で、1か月では全然足りませんでした。

当時と変わらずに、今も旅するときに計画は立てません。行き当たりばったり。それで奥さんとケンカになることも(笑)。旅は自分でつくるもの。僕にとってはぶっつけ本番が面白いんです。

話/パンツェッタ・ジローラモ 聞き手/田辺英彦

3.ジローラモ集合.jpg
来日した当初、宣教師のための日本語学校で学んだ(右端)


(出典:「旅行読売」2025年7月号)
(Web掲載:2025年8月5日)


Writer

田辺英彦 さん

東京都大田区出身、埼玉県在住。旅行ガイドブック編集・執筆、出版業界誌執筆などを経てフリーランスに。東北・八幡平の温泉群と、低山ハイク、壊れかけたもの・廃れたものが好き。

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